「枚方くらわんか五六市」加藤氏講演会レポート〈前編〉

都市計画家として地域再生に取り組む 株式会社サルトコラボレイティヴの加藤さんに、
大阪府枚方市、三重県伊賀市での取り組みについて
お話を伺いました。

特に枚方での「枚方くらわんか五六市」は、
地域再生の定期マーケットの先進的な事例として、

我々が今後も海辺のあたみマルシェの事業を展開していく中で
大変参考になるお話だったので、
こちらで加藤さんのお話をご紹介させていただきたいと思います。

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【枚方宿くらわんか五六市】

平成19年3月より始まった、
毎月1回、定期的なマーケットを開催している取り組み。
出店数は約200店舗と、
比較的大きな規模のマーケット。

町屋を使って起業する若い世代や、
まだ店舗を持てず発信場所を探している人が、
出会い、つながり、発信していけるような場を目指しています。

その結果、7年間で30の新しい店舗が生まれました。

【五六市の誕生】

枚方市の枚方宿のエリアでは、市役所によって都市整備事業が進められていました。
そのことによって、確かに、町の景観はキレイになりました。
でも、町の人にとっては「何か違う」と。
町が「キレイ」になってほしいんじゃなくて、
「元気」になってほしいのではないでしょうか。
建造物や景観などハード面ばかり良くなるのではなく、
町の産業や、人が、活き活きとしていてほしい。

そして、平成17、18年頃から、空き物件に関する情報バンクを立ち上げました。
ちょうどその頃に京都で町屋再生ブームが起こってたこともあって、
空いている古い町屋を使いたい人を新聞で応募してみると、
なんと100人もの応募がありました。

それほど多くの人が「この町で何かやりたい」と思っているのか、
と驚きましたが、実際に使える物件は5件しかありませんでした。
これでは残りの95人は商売をしたくてもすることができない。
だったら、「月に1回、100人全員に商売をしてもらおう!」としたのが、
五六市の始まりです。

 

枚方は人口40万人(熱海の4倍)の町で、
規模の大きい町だから成功しているのかと言えば、
そうではなく、1500人の町でも上手くやっているところはあります。
市の取り組みが上手くいくかは、町の規模の問題ではないのです。

では、なぜ上手くいっているのか?

【特徴】

1、フリーマーケットとの差別化
 ドームで開催するフリーマーケットなどとは
規模では勝てないかもしれないけれど、
手作り、こだわり、フェアトレード、エコロジーなど、
出店者の方のこだわりを重視しています。

2、補助金に依存しない
出店者の方からは3000円の出店料を回収し、
自立した運営を行うようにしています。
200店舗出れば、1回60万円の収入があり、
運営費を差し引いても黒字で運営できています。
逆に、補助金に依存したイベントでは、
補助金が打ち切りになったらそこで終わってしまう。

また、5年間で得た収入は、吉本などではなく、
手伝っていただいた方や町づくりに投資していきたい。
お金がたまると、「客寄せパンダ」を呼ぶのに充てる人もいるが、
お金がたまったら、出店社が何をしたいのかを考える(例えば、開催の頻度を上げるなど)ことが大切です。

3、メインターゲットは、枚方市民
(足元需要を掘り起こすこと)
  年1回のイベントではなく毎月1回来てもらえるイベントにすることで、
  町の人に定着化をはかっています。

広報も、基本的に枚方にしかしていませんし、
それも枚方の一部にしかしていません。
出店者のためになるようやっているから、
リピートしてくれるような地元の人にこそ来ていただきたいのです。

また、開催日は毎月1回第二日曜日と決まっているので
覚えてもらうことができ、
広告費があまりかからないのです。
1回の来場者が7000人で年間7万人程ですが、
7万人の来場者を集めるのに普通100万円近くかかるところを、
20万円の広報費で済んでいます。

4、地域産業に「新陳代謝」をビルトイン、
  つまり、地域での新しいチャレンジを生み出すことが目的
  (集客するためのイベントではない!)

地域で既得権の持つ者が多く
新規参入のハードルが高く見える状況にあっても、
町の価値が変わっていっている、あるいは落ちていっている場合には、
その状況を変えることが必要です。
そこで、「新陳代謝」として定期マーケットを開き、
地域の方の新しいチャレンジを生み出していくのです。

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五六市の効果で新しい動きが出てきています。

枚方は、かつて東海道の宿場町としてとても賑わっていたこともあり、
市街地の再開発も盛んでした。
しかし近年では、近鉄、三越などが抜け、
市街地の再開発がほぼ全滅状態になってしまいました。

そこに、雑誌で、枚方に新しくできたお店を紹介した、
「枚方散歩」をテーマとする記事などが出るようになったのです。
こうした地域の人たちのよる新しい動きが捉えられ、
枚方が「オシャレ」な町として紹介されるようになりました。

新しく店舗ができてきているといってもまだまだ30店舗程ではありますが、
多少なりともそうした動きが出てきていることによって、
「枚方散歩」という新しい町の価値を創り出すことができたのです。

元々町に住む人が聞いたら、
「枚方は散歩するような所じゃなかった」と
驚くもしれませんね。

 

「後編」に続きます。

 

 

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